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潰瘍性大腸炎について(診断の流れ~治療方法まで)


 



 

潰瘍性大腸炎とは

 第96代内閣総理大臣安倍晋三氏が患っていることでも有名な潰瘍性大腸炎。欧米諸国で多い病気ですが、日本でも平成25年度末でわが国の潰瘍性大腸炎の患者数は166,060人が登録されており、毎年約5千人ずつ増えています。
 通常、免疫はウイルス等が侵入したとき、攻撃をしますが、潰瘍性大腸炎の患者様の免疫は自分の大腸を外敵と認識してしまい攻撃します。結果、大腸で炎症を起こし、びらん、ただれ、潰瘍を起こします。
 食生活やストレス、感染症、遺伝などが関連するといわれていますが、異常な免疫の原因はわかっていません。発症年齢のピークは男性で20~24歳、女性では25~29歳にみられますが、男女差はなく、若年者から高齢者まで発症します。

  
~難病情報センター(公益財団法人難病医学研究財団)H.P.より引用~

 

潰瘍性大腸炎の診断の流れ

粘血便(粘液と血液が混ざった便)などの症状により潰瘍性大腸炎が疑われた場合、まず医師による問診を行い、その後、身体診察、便・血液の検査、大腸内視鏡検査などを経て、総合的に診断を行います。大腸内視鏡検査では大腸の粘膜に典型的な病変がないか、便・血液の検査では細菌感染による大腸炎など、他の病気による炎症がないかを確認します。

潰瘍性大腸炎の診断の流れ

 


 

潰瘍性大腸炎で行われる検査

 
― 大腸内視鏡(+生検組織検査)に加え、血液や便の検査、レントゲン検査など

 潰瘍性大腸炎では、診断時だけでなく、治療を始めてからも、さまざまな検査が行われます。問診や身体診察、以下のような検査の結果を組み合わせて、患者さんの病態を把握します。

 

➀血液検査

 血液検査では、炎症の程度や貧血の有無、栄養状態を把握します。また、診断だけではなく、治療開始後には、使用している薬の副作用がないかどうかも確認します。

 

■主な血液検査の項目

 

炎症の程度を見る検査

 

 ロイシンリッチα2グリコプロテイン(LRG) : 炎症性腸疾患の活動期の判定の補助に有用な新規血清バイオマーカーです
 〇CRP(血清C反応性タンパク)
 〇白血球数
 〇赤沈(赤血球沈降速度)


 

貧血の有無を見る検査

 

 〇赤血球数
 〇血色素量(Hb)
 〇ヘマトクリット値(Ht)


 

栄養状態を見る検査

 

 〇総タンパク質(TP)
 〇アルブミン値(ALB)
 〇総コレステロール(TC)
 〇コリンエステラーゼ(ChE)


 

副作用や全身状態を見る検査

 
~肝機能~

 〇AST
 〇ALT
 〇ALP
 〇γ-GTP
 〇LDH

 
~腎臓の機能~

 〇尿素窒素(BUN)
 〇クレアチニン(Cr)

 
~膵臓の機能~

 〇アミラーゼ(Amy)
 〇リパーゼ

 

➁便検査

 便中カルプロテクチン : 便検査では炎症性腸疾患における腸管の炎症度を反映するバイオマーカー
 便潜血反応 : 腸管の潰瘍により出血した血液が便の中に混じっているかどうかを調べます。
 〇その他 : 便を検査して、細菌(便培養検査)や寄生虫の感染の有無を明らかにします。
 診断時には、「細菌や寄生虫の感染による大腸炎」と「潰瘍性大腸炎」を区別するために必ず行います。
 また潰瘍性大腸炎が悪化したり、一旦良くなったのに再び症状が現れたりしたときも、感染による腸炎を疑って便培養検査を行うことがあります。

 

➂尿検査

 尿検査では、潰瘍性大腸炎が重症になるにつれて現れる症状の一つ脱水の有無を評価する尿比重という項目を測定します。また、感染症や腸管合併症、腸管外合併症、使用している薬の副作用の評価にも有用です。

 

➃下部消化管内視鏡検査(大腸カメラ)

 粘膜の炎症の程度によって重症度を判断することができ、また炎症の範囲を確認することによって病変範囲による分類を行うことができます。分類には4種類あり、➀直腸炎型(炎症が直腸のみに限局)、➁左側大腸炎型(炎症が直腸から脾湾曲部までにとどまる)、➂全大腸炎型(炎症が脾湾曲よりも口側に広がる)、➃右側・区域性大腸炎、があり、ほとんどの場合では直腸から連続的に炎症が広がっていきます。また、内視鏡検査では似たような症状を呈する他の腸炎や大腸の病気を区別することができます。

 

鑑別診断の際にポイントとなる所見・縦走潰瘍と偽ポリポーシス
・偽ポリポーシスが認められた場合、クローン病の敷石像との鑑別が必要なことがある。鑑別のポイントとして、潰瘍性大腸炎(UC)の偽ポリポーシスは丈が低く大きさは不整形で、間に小潰瘍やびらんがみられること、ポリポーシス周囲粘膜は萎縮性である。
 

➄病理検査

 病理検査では、内視鏡検査や手術の際に採取した組織を顕微鏡で詳しく観察し、潰瘍性大腸炎に特徴的な所見があるか確認します。潰瘍性大腸炎の診断時には、病理検査で得られた所見を他の検査や問診、身体診察の結果と組み合わせて判断します。
 発症してから10年以上経過している直腸炎型以外の潰瘍性大腸炎の患者様は,同じ年代の一般の人に比べて大腸がんのリスクが高くなるということが知られています。よって、内視鏡検査や手術の際に採取した組織を顕微鏡で詳しく観察し、癌化の有無も確認します。

 

➅CT検査

 腹痛や下痢・血便が重症であり、内視鏡検査での全大腸観察が困難な場合に、病変範囲を評価する目的で行うことがあります。CT検査は侵襲性が低く患者さんにとっては苦痛の少ない検査です。しかし、潰瘍性大腸炎は粘膜という腸の壁の最も内側の部位のみの炎症であり、CT検査で病気の程度を評価することが困難であるため、潰瘍性大腸炎の患者さんに対してはあまり行うことが多くありません。



 

潰瘍性大腸炎の治療

 薬による内科的治療がメインとなります。重症の場合や薬物療法が効かない場合には手術が必要となります。

 
1)内科的治療

 現在、潰瘍性大腸炎を完治に導く内科的治療はありませんが、腸の炎症を抑える有効な薬物治療は存在します。治療の目的は大腸粘膜の異常な炎症を抑え、症状をコントロールすることです。
 治療法としては,5-アミノサリチル酸製剤、ステロイドによる治療が中心となります。これらの治療で病気のコントロールがうまくいかない患者様には、血球成分除去療法、免疫調節薬または抑制薬、抗TNFα受容体拮抗薬などの治療法をうまく組み合わせて治療する必要があります

 
2)外科的治療

 多くの場合、内科治療で症状が改善しますが、以下のようなケースでは外科手術(大腸全摘術)が行われます。
 (1)内科治療が無効な場合(特に重症例)
 (2)副作用などで内科治療が行えない場合
 (3)大量の出血
 (4)穿孔(大腸に穴があくこと)
 (5)癌またはその疑い

 

 大腸全摘術では人工肛門を作る場合もありますが、近年では、小腸で便をためる袋(回腸嚢)を作成して肛門につなぐ手術が主流となっており、術後は普通の人とほぼ同様の生活を送ることができます。

潰瘍性大腸炎の経過

 多くの患者さんでは症状の改善や消失(寛解)が認められますが、再発する場合も多く、寛解を維持するために継続的な内科治療が必要です。

 

 内科治療で寛解とならなかった場合、手術が必要となります。また、発病して7-8年すると大腸癌を合併する患者さんが出てきますので、症状がなくても定期的な内視鏡検査が必要になります。しかし、実際に、一生のうちに大腸癌を合併する患者さんはごく一部です。重症で外科手術になる患者さんなど一部の患者さんを除けば、ほとんどの患者さんの 生命予後 は健常人と同等です。


 

 

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